元営業マン、カメルーンで教師になる

1994年26歳 求人広告/営業・ライター業務を経て退職。青年海外協力隊員としてカメルーンの小学校に勤務。充実した活動をアピールするよりも、現場経験のない自分が体当たりでどこまでやれるのか、そしてその中で感じた素直な気持ちを書いていきたいと思います。趣味はお茶と登山。

激論の末

ちょっと大袈裟なタイトルですが、

今日は充実した1日でした。

 

なぜなら、

今日は活動計画書の発表日だったから。

 

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以前にも記述しましたが、

協力隊として派遣されて約半年後を目処に、

自身の今後の活動計画を可視化させるために、

計画書を作成し、

目標達成のために活動していくことになります。

(もちろん自分で立てる目標であって、

そこに拘束力があるわけではありません)

 

今日、ついに自分の活動計画を

教育事務所の職員や現場の校長、

そしてJICAから調整員と現地スタッフの前で

発表を行いました。

人事異動により現場の校長先生や事務所長が変わったこともあり、

改めて隊員の存在意義と、

自身の活動計画を共有し、全員で擦り合わせを行うのが目的でした。

 

 

他の先輩隊員の話を聞くと、

事務所長と三者面談のような形で計画書の読み合わせだったと聞いていたのですが、

いざ蓋を開けてみると会議に集まった人数は15名。

2時間オーバーの神経をすり減らすような展開でした。

 

 

先に終えてみての感想としては、

今日の会議をやって良かった。

この言葉に尽きます。

 

 

 

そもそも今回の会議は、

同じ管轄である幼児教育隊員の同期と合同であったため、

規模感も大きく人数も増えてしまいました。

事務所から事務所長含む主要ポスト5名とその他職員4名。

学校現場からは、小学校校長3名と幼稚園園長3名。

JICAから2名です。

 

 

 

始めに全体で自己紹介をした後、

JICA側から今回の会議の趣旨の説明があり、

その後自分たちの発表に移りました。

 

ぼくは今回の会議で伝えたい事は、

1)学校の先生と協力して活動をしたい

2)アクティブラーニングとまではいきませんが、子どもの活動を多く取り入れた授業スタイルの確立

 

この2点に絞って説明を行いました。

約10分程度と短い説明ですが、

要点を絞った甲斐もあり、

最終的には理解をしてもらえたら様子でした。

 

 

しかし、ここに至るまでに

激しい議論がありました。

 

 

主に議題に挙がった問題点は2つ。

1つ目は隊員と現場の先生とのコミュニケーション。

 

特に幼稚園の園長先生からは、

言葉の壁によるコミュニケーションに苦労していて、

求めている物がわからない。

またカメルーンのカリキュラムと噛み合っていないといったように、

手厳しい意見が出ました。

 

2年間という限定された活動だからこそ、

日本人である自分たちとどのように仕事をしたらいいのかわからない、困っているという

率直な意見も出ました。

 

幸いな事に事務所長は、

昔JICAの研修を広島で受けた経験があるようで、

言葉の壁や環境の違いなど理解がある様子で、

事務所長が園長先生たちをなだめるという光景もありました。

 

 

2つ目は活動のやり方に関して。

多くの現場の校長先生や園長先生は、

現場の先生の代わりとして積極的に授業をして欲しいという、いわゆるマンパワーを求めていました。

一方で、ぼくたちは2年間の中で出来ることは限られるため

まずは現場の先生に落とし込み、

そこから継続的な浸透に期待したい方針でした。

 

この両者の需要と供給のズレが、

歪みを生み出していたのかもしれません。

 

 

今まで自分も現場の先生たちに対して、

単なる先生の代替的な存在として来ているわけではないということは伝えていましたが、

そもそもの協力隊事業の意義や目的である

「協働」の部分が上手く伝えられていなかったようです。

 

 

正直、かなり深い部分の話だったので

理解するのに必死な状況、

そして厳しい追及にかなり苦しい状況でした。

 

 

 

しかし、

そんな状況を変えてくれたのは、

自分たち隊員ではなく、

そしてJICAスタッフでもなく、

普段仲良くしている教育事務所のスタッフでした。

 

 

彼らはぼくたちの代わりに反論し、

日頃どれだけ学校や子どものために頑張って活動しているのかを、

語ってくれました。

 

ある1人は、

ぼくたちが町の広場にブランコを作るという

本来の活動とは別で行なっている話を持ち出しました。

(この話はまた別の機会で)

 

市役所を巻き込んで精力的に活動していること。

そしてそれはボランティアとして子どもたちのために活動していること。

その結果、ブランコには子どもの行列ができるほど人気であること。

 

 

完全なる趣味でやっていただけなので、

今回の会議で話をするつもりはなかったのですが、

彼はぼくたちの活動をしっかり見ていたようで

ぼくたちの日頃の努力や人間性について熱く語り、

言語の壁よりもお互いの歩み寄りこそ大切であると強く訴えていました。

 

 

それを聞いて、

ぼくは泣きたくなるほど嬉しく、

心強い味方がいることを強く実感しました。

 

 

これを皮切りに、

ぼくたち日本人がカメルーンで生活や活動をすることの大変さを皆んなが感じ取り、

追及ではなく、

どのようにしたらより良くお互い良い活動をし、高め合えるかという議題に変わりました。

 

彼らの言葉が、

会場の雰囲気を変えてくれた気がしました。

 

 

最終的には、

ぼくたち日本人の考え方や言葉の壁をダイレクトに現場に持ち込むのではなく、

事務所職員の中でワンクッション挟めるポストを立て、

彼らとともに活動を行なっていくという方向性で決着しました。

 

 

 

今回の会議によって、

日頃先生や職員たちがぼくたちに対して

どう思っているのか包み隠さず話をすることができました。

そして同時に、ぼくたちの地道な活動をしっかり見守ってくれている存在が身近にいるということも実感できました。

 

お互い洗いざらい話をしたことで、

全員が共通認識のもと、

新たな一歩を踏み出せるような気がします。

 

 

会議の最後に、

言いたいことあれば言って良いと言われたため、

意を決してぼく個人の意見を伝えることもできました。

 

・自分の2年間で子どもたちに何かを与えるのは難しいため、学校の先生に伝え、それを継続的に浸透させるシステムを作りたい。

・自分は協力隊事業はカメルーンに大きな利益を与えると確信しており、

何よりムフーの人々がそれを証明していること。

 

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ここ最近は活動の悩みが多く、

どうしたらいいのか迷っていました。

自分の存在意義すら中々見出せないような出来事もありました。

 

ですが今回、

ぼくたち隊員のために朝から集まり、

より良い活動のためにどうするべきか皆んなで話し合う。

ぼくたちのために皆んなが時間を割いて話し合いが出来たことが何よりも嬉しかったです。

 

 

言語どうこうよりも、

まずはお互いしっかり話し合い、

相手を理解する。

 

当たり前のようですごく難しい。

ですがそんな大切なことを気付けた1日でもありました。

 

 

また明日から気持ちを新たに、

頑張りたいです。