元営業マン、カメルーンで教師になる

1994年26歳 求人広告/営業・ライター業務を経て退職。青年海外協力隊員としてカメルーンの小学校に勤務。充実した活動をアピールするよりも、現場経験のない自分が体当たりでどこまでやれるのか、そしてその中で感じた素直な気持ちを書いていきたいと思います。趣味はお茶と登山。

家電のある生活からカメルーンに想いを馳せる

日本へ帰国してもうすぐ2週間が経とうとしています。

自宅隔離期間である前に、

緊急事態宣言の発令などとても気軽に外出できる状況ではないため、

今は気兼ねなく自宅で引きこもり生活に勤しむ毎日です。

 

のんびり過ごすのが許されたのは数日程度で、

それ以降は家事を行う人員としてカウントされています。

家に一日中いるため、その期待は当然ではありますよね、、、

 

 

振り返ると、

ぼくは今まで積極的に家事の手伝いをできていなかった。

そう自覚しています。

 

カメルーンに派遣される前の70日間を、

長野県の駒ヶ根訓練所で共同生活をしていた時には、

初めて洗濯機を自分で回す場面に出会い、

洗濯機の設定や洗剤と柔軟剤の適切な分量を同期の隊員に

恥を忍んで教えてもらったくらいです、、、

 

 

そんな文明の利器がフル装備された日本から一転、

カメルーンでの生活はガラッと変わり、

家事に対する見方が変わりました。

 

 

ぼくが生活していた家には、

当然ながら食洗器や掃除機、洗濯機などはありませんでした。

 

そのため、

家事1つあたりにかかる時間がとても長いのです。

 

 

例えば洗濯をするとなると、

 

・桶に水をためる(断水中は井戸水か貯水を利用)

・石鹸や洗剤で手もみ

・複数回ゆすぐ

・絞って水気を抜く

・干す

 

この5工程をすべて手作業でやりました。

1人暮らしのため洗濯は週に1度まとめて行っていましたが、

それでも衣類は多くないので約1時間程度。

 

 

しかし例えば、

ぼくの近所のカメルーン人は子どもが多く大家族のため

7,8人の衣類をお母さんが地道に洗濯しています。

きっと量も膨大にあることから、

平気で3,4時間は洗濯をしています。

(おしゃべりしながらの、ながら作業ということもありますが)

 

そして干場は多くないため、

周りの草木の上に置いて自然乾燥させる大胆さ。

 

 

別の例として料理の場合。

カメルーンではガス管をつないでコンロを使った調理も可能ですが、

ほとんどの過程でコンロを持ちながらも、

野外で薪を燃やして調理をしています。

 

その理由は、

ガス管よりも薪のほうがより経済的だからだそうです。

確かに薪であれば、

周辺の山からいくらでも調達可能であり、

理には適っていると思います。

 

しかし、薪を使った調理のため

火を焚いてから調理をするまでそれなりの時間を要し、

さらに鍋で煮込む系の料理が多いカメルーンでは、

尚更調理時間が長い。

平気で3時間は調理をしています。

 

 

 

このように、

カメルーンでは、

1日のうち家事に従事する時間が長く、

それだけで1日が終わるように思えます。

 

そのため子ども達は家事において、

貴重なお手伝い要員として重要なや役割を担っており、

料理や洗濯手伝い以外に、

母親が手が離せない間の兄弟の面倒から畑の野菜収穫など

その仕事は多岐にわたります。

 

 

 

ぼくはその時代を見たことがないのですが、

歴史の教科書を見ると三種の神器(白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫)が

登場する1950年代前は、

これと似たような生活が日本でも行われていたと聞きます。

 

 

日本はこの三種の神器によって、

ライフスタイルが変化し、

それによってまた新たな需要と供給が生まれ、

経済が発展しました。

 

そう考えると、

カメルーンも近い未来、

洗濯機を使い時間当たりの生産性が向上し、

浮いた時間をまた何か別の新しいことに使われるかもしれません。

 

 

カメルーンでは既にカラーテレビ・冷蔵庫・洗濯機はありますが

冷蔵庫と洗濯機は一般家庭にとっては高価で

まだ馴染みが薄い物のようです。

 

 

 

お手伝いで勉強時間の確保が難しかった子どもたちも、

変わるかもしれません。

そんな期待感すらうっすらと感じてしまします。

 

 

経済が豊かになるということは、

生活の質が向上することであり、

それは時間当たりの生産性の向上でもあるということでしょうか。

 

 

 

そんなことを思いながら、

今日も考えなしに洗濯機に衣類を放り込み、

空いた時間を怠惰に過ごす1日でした。

 

 

f:id:kake02:20200413002629j:image
f:id:kake02:20200413002625j:image