元営業マン、カメルーンで教師になる

1994年26歳 求人広告/営業・ライター業務を経て退職。青年海外協力隊員としてカメルーンの小学校に勤務。充実した活動をアピールするよりも、現場経験のない自分が体当たりでどこまでやれるのか、そしてその中で感じた素直な気持ちを書いていきたいと思います。趣味はお茶と登山。

腐敗した組織にそれでも残る理由

最近は授業をやる事に手一杯になり、

最近は現場の先生とのコミュニケーションが

減ってきていると感じ意識的に会話するようにしています。

 

 

先日ある授業の間の休み時間に、

雑談の中で、1人の男性教員とキャリアや仕事観について

触れることがありました。

 

その先生は13年目と教員経験豊富で、

本来2人体制のところ1人で5年生の学級を担当しており、

それ以外にもスポーツイベントの取り纏めなど

学校側からかなり信頼を置かれている先生です。

 

彼の授業はとても上手で面白く、

ディスカッションも積極的に取り入れるなど

比較的他の先生が面倒くさがるようなことも

率先して取り入れています。

 

ぼく自身も彼がカメルーンで関わった先生の中で、

1番授業が上手だと思っています。

 

 

そんな彼から、

カメルーンでキャリアを積むことの難しさを

教えてくれました。

 

 

 

その最大の理由は、

公平な評価制度が機能しておらず、

昇進のための賄賂が横行しているという話でした。

 

つまり校長など主要なポストに就くために、

金銭を支払い評価を優遇してもらうといった

やり方のようです。

実際に彼曰く、

教員経験4年程度で校長に昇進した先生もいたようです。

 

全ての校長がこのようなやり方で、

ポストに就いたとは思いませんが、

最低限の現場を知るという過程を、

金銭のやり取りでショートカットするという現実がある以上、

評価に正当性や公平性がない腐敗した状態に陥ってしまっているという話です。

 

 

※ここで言う腐敗とは、

個人的な利益の獲得によって、

公平な評価制度が整っておらず、

不利益が生じている状態だと自分は解釈しています。

元々は植民地時代に権力や地位による支配が

一般的であり、

それが植民地解放後も自国の中で、

そのような構造が続いている。

これが途上国でよくある腐敗のパターンのようです。

 

 

 

もともとカメルーンでは警察や軍隊が

賄賂を要求するなど、

主要機関が腐敗してしまっているため、

今更驚くべきことではないかもしれませんが、

学校現場にもその腐敗が蔓延しているという

話は少しショックでした。

 

 

しかし、

そんな環境の中でも彼は誰よりも手間をかけて

授業を行なっている。

そのモチベーションはどこからきているのか尋ねたところ、

 

「教えることが好きだから」

 

というシンプルな答えでした。

 

 

 

彼の家庭は教師一家のようで、

父は牧師らしいのですが、

兄弟は全員教師。

そういった環境もあり、

教師という仕事に誇りを持っているようでした。

 

 

彼は更にこんな言葉も付け足していました。

 

その仕事を好きにならないと、

金や名誉などキリのない物を求めてしまい、

求めすぎるが故に、

結果として腐敗してしまう。

 

 

同僚の前に人生の先輩として、

素敵な価値観を教えてもらいました。

 

 

 

自分よりもサボっていたり能力の低い人が

評価されても、

自分は担任として目の前の子どもに尽くしたい。

 

そんな素晴らしい考え方を持つ先生が、

カメルーンにもいたことに衝撃を受けましたが

とても考えさせられた瞬間でもありました。

 

 

そして、

確かに腐敗とは少し違いますが、

何かに囚われて必要以上に追い求め、

その結果心が壊れてしまい鬱になってしまう。

まさに日本でも問題視されている部分にも

通ずる物を感じました。

 

 

 

せっかく日本とは価値観が異なる国にいるのだから、

その優劣を比較するのではなく、

多様性の1つとして、もっとカメルーンの人たちのことを知りたいと思いました。

 

 

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